広島県尾道市(しまなみ)の美術館/ポール・アイズピリ、ピカソ、ルオー、小林和作、梅原龍三郎、中川一政、林武などを所蔵。チェンバロによるコンサートやフレンチレストランでの食事も楽しめます。

 
なかた美術館
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nakata Labs『金のりんご』についてお知らせ

更新日:2019年1月19日(土) 【nakata Labs  なかたラボ】

 

 nakata Labsの『金のりんご 絵本を楽しむ小さな集まり』についてお知らせです。

 

 

 

 



こちらは作家はいじまのぶひこさんと一緒に、絵本を軸にしつつ、絵を描くことや本を作ること、見ることなどを楽しく学ぶ集まりです。

2月より日時や料金が変わります。

 



・毎月第1土曜日 (初回は2019年2月2日)

・時間 13:00~16:00 

・参加費 1回 2,000円(小学生以下のお子様1,000円)


ご予約は前日までにお願いいたします。

なかた美術館(0848-20-1218)までお電話ください。



はいじまさんは画家、造形作家として作品を制作するほか、絵本も手がけていて、著作『きこえる?』はブラティスラヴァ世界絵本原画ビエンナーレにて、準グランプリにあたる"金のりんご賞"を受賞しています。

この作品には、はいじまさんが尾道の生活のなかで見つけた色や形もたくさん登場しています。

 
 
 


講座の『金のりんご』では形式的なカリキュラムは設けず、参加される方のご希望やペースにあわせて続けています。
 
 


自由に絵を描いたり、絵や本についてのんびりとおしゃべりする気軽な参加から、絵や文章などの小さな種から、オリジナルの絵本を仕上げるまでの本格的なコーチも可能です。

大人の方も子どもさんも大歓迎。 ぜひお気軽にお問い合せ・ご参加ください。





 
 
はいじまのぶひこ

 画家、造形作家、絵本作家。東京都生まれ。
パブリック・コレクションに東京オペラシティーアートギャラリー、府中市美術館、愛媛県美術館、大分県立美術館、群馬県立近代美術館。
2012年3月、絵本「きこえる?|Can You Hear That Sound ?」(福音館書店刊)を出版。
2013年9月、同作により第24回ブラティスラヴァ世界絵本原画ビエンナーレにおいて準グランプリ"金のりんご賞"を受賞。
同ビエンナーレは絵本原画の領域において世界でもっとも権威あるものといわれており、過去の"金のりんご賞"受賞者に、レオ・レオニ、藤城清治、安野光雅らが名を連ねる。
2015年6月、作家の上橋菜穂子、児童文学翻訳家の神宮輝夫、絵本作家のあべ弘士らと共に第4回JBBY賞を受賞。
2015年度、東京藝術大学美術学部絵画科版画学科、非常勤講師。2016年度、尾道市立大学芸術文化学部美術学科油画専攻、非常勤講師。



 
 
 

今年もなかた美術館は皆様に楽しんでいただける展覧会や、いろいろな関連プログラム nakata Labs を企画していきます。

どうぞよろしくお願いいたします。



 


みなさん、クリスマスはいかがお過ごしだったでしょうか。

なかた美術館ではクリスマス前の日曜日に、

ミュージアムコンサート『チェンバロとコントラバスで奏でる -重低音の魅力-』を開催しました。


チェンバロは小田郁枝さん、コントラバスは原田一平さんによる演奏です。

 

 

コントラバスとの共演は当館では初めて。やっぱりすごく大きくて、存在感たっぷりです!


ヴァイオリンやチェロとよく似ていますが、直接の先祖はヴィオラ・ダ・ガンバと同属であるヴィオローネで、調弦や弓の持ち方などが異なっているのだそうです。

 

 

 

今回のプログラムでは、本格的なコントラバスソナタからおなじみのクリスマス・キャロルまでお届けしました。


 

 

 

コントラバスはオーケストラの伴奏といったイメージもあるかもしれませんが、楽曲によって繊細さ、力強さ、悲しげな音色から温かい音色まで、多彩な表情や新たな魅力を感じられる演奏でした。


大変よく響く楽器でもあり、前方のお客様は床から振動が伝わるほどだったのではないでしょうか。


すっぽりと包み込まれるような安心感のある重低音と、チェンバロの華やかできらきらと澄んだ音色が一緒に響いて、寒い冬のクリスマスの空気にぴったりの雰囲気でした。



 

 

ご出演のお二人、ご参加いただいたみなさま、どうもありがとうございました。



恒例になっているこのチェンバロミュージアムコンサートは、来年も4月から定期的に開催する予定です。

またどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

 

 

 

ワークショップ『目には見えない絵』を開催しました

更新日:2018年12月22日(土) 【nakata Labs  なかたラボ】

先日、当館学芸員が非常勤講師として『博物館教育論』の授業を担当している尾道市立大学の学生さんたちを、

校外学習として美術館に招き、一緒にワークショップを行いました。

みな美術学科もしくは日本文学科で、学芸員の資格取得を目指して学んでいる学生さんです。

 

 

 

今回は 『目では見えない絵』 と題し、交代でアイマスクをつけて、作品について言葉で伝え合うというワークショップを行いました。

 

美術館や博物館というのは、何か展示されているものを“見る”場所ですよね。

いつもの私達は、美術館に行くと順路通りにまわって、一つも見逃さないようにしようと思うし、時間がなかったりして全部を見きれなかったとき、すごく心残りに思うのではないでしょうか。

 

ですが、このワークショップではあえて “作品を見ないこと” をメインの体験にしてみました。

作品の言語化や、視覚以外の感覚を使った鑑賞、作品を通したコミュニケーションについて考察するというのが目的です。

 

ワークショップを開催するにあたり、参考にさせていただいたサイトをご紹介します。

 

ビューネット神奈川 「アイマスク体験は慎重に!」

(特定非営利活動法人 神奈川県視覚障害者情報雇用福祉ネットワーク)

http://view-net.org/archives/154

 

アイマスク体験には危険が伴います。

転倒など物理面の危険はもちろん、安易に体験をすることで「見えないこと=怖い」、「視覚障害者=なにもできない」というマイナス面ばかりが印象づけられてしまう怖れがあるとのこと。

普段から見えない生活をしている状態と、突然視覚を遮断された状態はまったく違うという、当たり前ですが重要な指摘がされています。

また今回は実現できませんでしたが、障害の当事者と協同で体験を行うことが望ましいともされています。

 

学生たちには、これらの点を十分に説明した上で、危険を減らすことを徹底しました。

● 見えないことによる不便や恐怖といった感情には着目しない。

● 「作品を見ない」という目的をしっかり共有する。

● 移動の際は危ないのでアイマスクをしない
 (作品に近づくときも足元だけは見えるようにするなど)

こうしたことを、学生さんたちもしっかり理解してくれていたようです。

 

 

 

 

見えない鑑賞を行うコツとしては『ミュージアム・アクセス・ビュー』さんを参考にしました。

京都を中心に、目の見えない人や見えにくい人と一緒に、気軽にアートを楽しむグループとして活動されています。

 

「ミュージアム・アクセス・ビューとは」

http://www.nextftp.com/museum-access-view/what.html

 

ドリームアーク
「対話しながらアートを体感  ミュージアム・アクセス・ビュー インタビューレポート」

http://www.dreamarc.jp/archives/2080/

 

“4つの「しない」ルール”   by ミュージアム・アクセス・ビュー 

(上記サイトより引用)

 

1.静かに鑑賞しない

   おしゃべりしながら作品鑑賞を楽しみましょう。

 

2.見える人は一方的な説明をしない

   自分の声や相手の声、作品の声を「聞く」ことも忘れずに。

 

3.目の見えない人・見えにくい人は、聞き役に専念しない

     どんどん困らせる質問をしましょう。

 

4.すべて分かり合おうとはしない

    人間、すべてを分かり合うのは不可能です。それより気軽に鑑賞しましょう。

 

 
 
 
 

 

さらに伝えるコツとして 3つを追加してみました。

 

・まず客観的な説明をしてみよう

 … 大きさ、色、形など見えるもの

   これらを具体的に言い換えたり、何か似ているもの・連想するものに例えてみる

 

 

・主観的なことも伝えてみよう

 … どう感じたか、どう思ったか

 

 

・主観的に思ったことの根拠を、客観的なことと関係づけて説明してみよう

 … なぜそう思ったか、どの部分からそれを感じるか


 

 

(↑ チーム毎のマップでは、自分がアイマスクで体験した作品を、最初から最後まで全く見ずに終わることができるコースを設定しています)

 

そして大事なこととして、今回は見えない状態で想像した作品が、たとえ本来の作品と違う姿だったとしても構わない、

“正解”を伝えることや、作品と照らし合わせて答え合わせをするのが目的ではないということ、ということも伝えました。

 

また視覚以外の感覚を使うために、以前に『子ども学芸員の旅』でも使った「手触りの見本」を用意しました。

紙や布、革などさまざまな素材を集めています。

作品の印象や質感を伝えるために、言葉では足りないとき、相手の指先が触れるようにして使ってもらいました。

 

 

 

3人〜4人ずつのグループに別れて1人がアイマスクを着用、ほかのメンバーが説明や書記を行います。

その役割を順番に交代しながら進めていきました。

最後に「どんなふうに作品を思い浮かべたか」を各自で振り返り、同じ作品を体験した人同士で、その内容を共有しました。

 

 

学生たちの感想を一部ご紹介します。

 

 

まずは伝える側のとき

「自分の感じたことを伝えるのは簡単ですが、相手がどう感じるかを考慮すると、迷ってしまって難しかった」

「情報は足りているのか、伝わっているのか、説明していて不安になった」

「言葉で伝えようとすると、見えるものが増える気がした」

「二人で情報を出し合うので、お互いに違う点に着目していて面白かった、見えていても新しい発見があった」

「今までで一番くらい、一枚の絵を長時間をかけて真剣に見ることができた。人に説明しているうちにだんだん愛着がわいてきて絵のことを好きになれた」

「相手の話に耳を傾けることの重要さを知った。一方的に話しがちだったことに途中で気づいて、相手の話を聴くようにしたら相手の想像がどんどん広がっていくのがわかった」

 

 

アイマスク着用のとき

 「自分のなかで新たな絵画、作品が描かれていくのがわかった、目で見て鑑賞するよりも入ってくる情報が多いように感じた」

「話を聴いていて、だんだん絵のディテールや雰囲気が伝わってくるとすごくわくわくした」

「絵を触ることはできないが、感触の見本を触ることでイメージがふくらんで少し感動した」

「自分で想像して作る絵もなかなか素敵だったので、絵が全く描けない私も画家になれたような気がした」

「最後まで絵を見ないことで、より自分の中で関心が高まったり、思い出として残るように感じた」

 「最初にアイマスクをしたので、もっとこういう情報が欲しい・・ともやもやしたまま体験を終えたが、伝える側になるとその難しさがわかった」

「自分の質問に対して、わかりやすく伝えようとしてくれるのが嬉しかった」

 

などなど。 

難しいことも多かったと思いますが、その難しさにしっかり向き合いながら、見えないことを楽しんでくれたのではと思います。

 

 

 

美術館としては作品像を正確に伝えることも大事ですが、はたしてその“正しさ”とは一体なんだろうと考えると、実にあいまいなもののような気がします。

たとえ見えていても、一人ひとり作品の感じかたや解釈は違いますし、だからこそ美術作品には意味があるのだとも言えます。

今回は各々が主体的に作品と向き合い、作品を通じて積極的にコミュニケーションしてくれたのがとても嬉しかったです。

 

 

初めての試みでしたが、私達にとっても学びの多いワークショップとなりました。

 

自分は普段なにを見ているのか?

絵を見ることはどういうことなのか?

作品のことをどうやって伝えることができるのか? 

 

美術館側もしっかり向き合っていかなければ、と改めて思いました。

どうもありがとうございました!

 

 

 

 

 

 

 

 
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音楽鑑賞の場として、所蔵のチェンバロを中心としたバロックコンサートを定期的に開催するほか、ジャズやクラシックなど様々なジャンルの演奏家によるディナー付きコンサートも企画・開催しています。併設するフレンチレストラン「ロセアン」では、ランチ・ティータイムはもちろん、美術館閉館後もゆったりとした空間でライトアップされた庭園を眺めながらの本格的なディナーが楽しめます。

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