
更新日:2015年7月9日(木) 【nakata Labs なかたラボ】
先日、ワークショップ「絵の中の街並みスケッチ」を開催いたしました。
展覧会の作品を好きな画材で模写をする、というとてもシンプルな内容ですが、
日本ではなかなか体験出来ないプログラムではないかと思います。
まずはじめに展覧会作品を鑑賞したのですが、
普段は純粋に鑑賞できる作品も、これから模写をすることを考えると
これは描きやすそう、難しそうといった目線で作品を見てしまいます…。
そして作品を選んで描きはじめます。
慎重に鉛筆で形をとっていきます。
ただ、今回展示してある作品は建物が描かれた作品が多く、
しかも外国の建物は窓がたくさんあったり複雑な形をしていたりして
形をとるのにかなりの集中力を必要とします…!
皆さん黙々と描いておられました。
着彩の道具は、水彩絵の具やアクリル絵の具、クレヨン、色鉛筆を使いました。
こちらの方は、ブラマンクが描いた田舎町の風景を透明水彩で描かれていました。
ブラマンク独特の、ずっしりとした空気が一転してさわやかな作品になりました。
ブラマンクの作品がザアザアと大きな木を揺らしながら吹く風だとすると、この模写された作品はさらさらと
穏やかな風が吹いているようです。
画材が変わるとまた雰囲気も変わりますね。
それも模写の面白いところの一つです。
今回は3時間の制作時間だったのですが、まだまだ時間が足りない、あと1日描きたいという声も!
確かに観察しながら正確に形をとっていって、
色味も真似して描くためにはじっくりじっくり描き進めなければなりません。
なかなか根気のいる作業でしたが、模写をしていくことで鑑賞だけでは気づかないことを
発見することができました。
参加者の皆さん、ご参加頂きありがとうございました。おつかれさまでした!(←心をこめて…!)
更新日:2015年6月4日(木) 【nakata Labs なかたラボ】
早くも過ぎ去ってしまった5月・・。
かなり久しぶりのブログ更新になってしまいましたが、
nakata Labs 「春のガーデントーク」と、「小さなみどり」の様子をご紹介します。
5/24までの企画展「コレクションにみる“植物” × BOOKS」では、
花や樹木、果実など、さまざまな植物が描かれた作品を集めて展示しました。
で、せっかく裏庭もありますし、本物の植物にも触れてもらおう!という二つの企画でした。
まずは「春のガーデントーク」から。
すばらしいお天気のもと、久しぶりに植物の専門家である浜田展也さんを講師にお招きしてのレクチャーです。
浜田先生は、本当に高等学校の先生なのですが、お忙しい仕事の傍ら、ずっと研究も続けていらっしゃる
植物学のエキスパートです。
なかた美術館の裏庭では、意外なほどにたくさんの植物を見ることができます。
イロハモミジ、シダレモミジに始まり、ウメ、アンズ、アカマツ、クロマツ、ツツジ、アセビ、
カリン、ツバキ、モクレン、キリシマ、ハナカイドウ、タケ・・・
みなさん真剣にノートをとっています。
それぞれの植物の特徴を聞いていくうちに、
どのようにして、環境にぴったり合うように「進化」したのか?という質問が出ました。
その答えは、すべて「偶然」です。とのこと。
たまたま「偶然」、その場所で、その時に、生き残った植物と枯れた植物があって、
また次の世代になって、「偶然」生き残った植物と、枯れた植物があって・・・
単純にその積み重ねなのだそうです。
どれだけ積み重ねたのか考えると、気が遠くなりそうですが。
また環境破壊が叫ばれて久しい一方で、人間の手によって守られている種も多くあるのだとか。
元々は森林にあったのに、今では庭でしか生きられないような樹木もあるそうです。
バラなどのように、人間に気に入られたからこそ繁栄している種もありますよね。
でもそれらも全て、長い目で見たら「偶然」のひとつなのでしょうね。
浜田先生のお話を聞いていると、時間の単位が何万年、何百万年なので、
そのスケール感に、頭の中もぶわーっと広がっていくような感覚になります。
知的なわくわく感と、新緑の気持ちよさをたっぷり味わい、充実した時間になりました。
翌週は「小さなみどり -苔玉をつくろう-」を行いました。
「ヒグラシ園藝店」の松本麻美さんを講師にお招きして、本物の土と植物で苔玉をつくります。
まずは苔のお話からスタート。
小さな苔をよく観察すると、小さな森を見ているようでした。
生えている場所を見ると、意外に日当たりや風通しを好むことも分かります。
さて、苔玉づくりです!
まずは土を混ぜて、こねて、粘土状にしていきます。
これは結構、力が必要です。
こねてこねて、なめらかにまとまる粘土状になったら、丸く形作っていきます。
ハンバーグやおにぎり、土でお団子を作った子供の頃をなつかしく思い出しました。
いかに、つるつるのお団子が作れるか、真剣だったなあ・・・
さて、玉ができたら真ん中を凹ませて、好きな植物を植えていきます。
たくさんの小さな玉に一株ずつ植えたり、
大きな玉に、何種類かを寄せ植えにしたり。
こだわりの見せ所です。
土で、根を完全に包みこんだらら、それをシート状の苔でくるみ、テグスでぐるぐる巻いていきます。
これもなかなか難しいのですが、皆さん、笑顔で完成しました!
多少かたちが歪んでいても、自分で作った苔玉は、なんとも可愛らしく、愛着がわきます。
小さな緑たちは、なんとなく誇らしげに見えました。
私も、この日に作った苔玉を自宅でお世話していますが、土や緑に触るのはやはり心地良いものですね!
普段は室内にいることが多いので、新鮮な感覚で嬉しくなります。
どちらのワークショップも、たくさんの方にご参加いただき、達成感にあふれる時間となりました。
会期中は「コレクションにみる“植物” × BOOKS」にも、たくさんご来場いただきました。
どうもありがとうございました!
更新日:2015年4月21日(火) 【nakata Labs なかたラボ】
尾道は雨の一週間でした。季節が変わりつつある証拠でしょうか。
そんな週末、美術館の庭で「ガーデンスケッチ」を開催しました。
植物がいきいきとしている季節、美術館の庭もいろいろな植物が花を咲かせています。
わたしも日々移ろいゆく庭の様子をほうーっと眺めていると穏やかな気持ちになれます。
せっかくだったら皆さんにも訪れてもらって、スケッチして頂こう!という企画です。
心配していた雨も上がり、まずは庭を散策しました。
庭の階段をのぼって、ずんずん進んでいきました。
ツバキ、ドングリ、ブドウ、キウイ…たくさんの木々が出迎えてくれます。
途中においしそうな大きさの竹の子を発見!…掘りたい…!
雨上がりという事で植物の色が際立って見えます。新芽の鮮やかなみどり色に囲まれて、
とても気持ちの良い空間でした。
足元を見たり、上を見上げたり。さまざまな植物の変化していく様子にたくさん出会うことができました。
お庭で見つけた植物を少しご紹介します。
まずこちらは春蘭というランの一種。透明感のあるみどり色をしており、
茂みの中でふしぎな光を放っているようでした。
こちらは温室の中にあるグァバの花。
かわいいような、少し気持ち悪いような…。幹にふわふわとした白い花が引っ付いています。
ふしぎな花の付き方ですね。
こちらはシャガというアヤメの一種です。
水辺にひっそりと咲いてました。
参加者の女性はこの木蓮をモチーフに選ばれました。
ちょうど見頃の、きれいな赤紫色の花が咲いていました。どの場所から描くのが良いか、構図を考えます。
いつも水彩色鉛筆で絵を描かれているそうで、今回も道具を持参してくださいました。
水彩色鉛筆と日本画用の筆、小さな水入れ。
スケッチに出かけるときは、チューブの絵具よりもこのような水彩色鉛筆や固形絵具を持ち歩いた方が身軽で良
いかもしれませんね。
スイスイと、手慣れていらっしゃる様子。
花びらの曲線をよくとらえていらっしゃいます。植物がもつ自然の曲線は、なかなか難しいんですよねえ。
しかしながら今回は描いている途中で雨が降り始めてしまいた。
続きはご自宅で描かれるそうです。
描く時間は短かったですが自然との触れ合いを楽しめて頂けてたらうれしいです。
次回は5月9日(土)に開催します。次回は晴れてくれることを祈ります!
その頃の庭はどんな表情を見せてくれるのでしょうか。楽しみです。
ご参加お待ちしております!