ワークショップ「nuttsponchon CAPに絵を描こう」を開催しました
更新日:2021年7月6日(火) 【nakata Labs なかたラボ】
こんにちは。
雨の日が続いていますが、気温が高くなり夏の気配も感じられますね。
先週の土曜日に、これからの暑い季節にぴったりなキャップを作るワークショップ「nuttsponchon CAPに絵を描こう」を開催しました。
今回は、開催中の展覧会『Painters+Collection 2021』(ペインターズ+コレクション2021)にも作品を出品されている、作家のnuttsponchon(ナッツポンチョン)さんを講師に迎えました。
nuttsponchonさんは平面の作品以外にも今回作ったようなキャップ、Tシャツ、スニーカーなど、さまざまな形で作品を制作されています。まずは講師と一緒に作品を見て、イメージを膨らませます。
キャップづくりに取りかかる前に、数種類の中から絵を描きたいキャップを選びます。自分がかぶった時のことも考えながら……。実際にかぶってみて決める人もいました。
帽子を選んだら、紙に鉛筆で下描きをします。膨らませたイメージをまずは紙にアウトプットします。
下描きができたら、講師にお手本を見せてもらいながら、布に絵を描くときのコツを掴みます。布の質感、インクのかすれ具合など、紙に描くだけではわからない感覚ばかりです。
いよいよキャップに絵を描いていきます!やり直しができないので皆さんとても慎重に描いていました。
キャップはフォルムが丸いので、平面に描くよりもとても難しいです……。
一筆一筆を丁寧に仕上げていきます。
完成しました!帽子屋さんに並んでいるような素敵なキャップができました。
今回はコットン生地の帽子に布用インクで絵を描きました。描いた後はドライヤーでよく乾かし、あて布をしてアイロンをかけます。アイロンは高温でかけることで布にインクが固定され、洗濯しても落ちないようになります。
日差しが強まる夏のおともに丁度良いオリジナルキャップができました!
ご参加いただいた皆さん、講師のnuttsponchonさん、ありがとうございました。
ワークショップ「彩りの花の絵」を開催しました
更新日:2021年5月5日(水) 【nakata Labs なかたラボ】
こんにちは。
すっかり新緑の季節になりましたね。
当館では花を描いた作品を展示しています。
作家によって表現の方法はちがっても、花や茎、枝葉などの植物の構造をしっかりと観察していることはどの作品にも共通しているようです。
今回はそのような花の咲き方、茎の分かれ方、葉のつき方などの構造に注目して、花の絵を描きました。
最初に館内の作品を見ながら花や葉、茎の形をしっかり観察しました。
葉の形や花の形の図をもとに、描かれている植物がどれに当てはまるかを考えていきます。
同じバラの作品でも品種によって形が微妙にちがいます……!
美術館を出て、庭の植物も同じように図と照らし合わせながら観察しました。
実際に手に取ってみると、植物それぞれの形のちがいがよくわかります。
室内に戻って描きたい花を選んだら、ホワイトボードにササっと描いてウォーミングアップ!
形を捉えるために、まずはじっくり花を観察します。
いよいよ、作品を描く段階に!みなさん真剣に花と向き合っています……
茎はどれくらい曲がっているのか、葉は同じところから何枚出ているのか、花と葉の位置関係……
もちろん、色もしっかり見ていきます。花瓶の繊細な模様も重要なポイントです!
そして完成した作品がこちらです!
実際に展示室の壁にかけてみました!
花のパーツひとつひとつをみなさんよく見て絵を描いています。
花を活けた水の波紋まで表現されていますね。
今回はパネルに画仙紙(和紙)を貼って、表面にジェッソを塗ったものに作品を描きました。
パネルは市販のもので、裏面が凹んでいるので壁に掛けることもできます。
身近にある花を丁寧にじっくりと見つめる、貴重な時間でした。
参加者の皆さん、ありがとうございました!
校外学習ワークショップのご紹介
更新日:2021年4月14日(水) 【nakata Labs なかたラボ】
昨年、尾道市立大学の学生さんといっしょに行った校外学習ワークショップをご紹介します。
参加者は「博物館教育論」を履修し、学芸員の資格取得を目指している皆さんです。
当館学芸員が非常勤講師を担当しており、ここ数年は美術館で作品を見ながら会話をする「対話型鑑賞」を行っていました。
(↓こちらが2019年の様子です…!)
しかし今回はコロナ禍のさなか、授業の一環として近距離で長時間の対話を行うことはできません。
どうすればリスクを最小限に抑えながら、双方向的なワークショップができるだろうか…と、感染症対策のガイドラインに沿って、「発話をしない」「距離を保ちながら」「ひとりずつ」できることを考えていきました。
そこで考えついたのが記述式の対話鑑賞です。
1. 気になる作品を見つける
2. 調書(ワークシート)に、作品を見て考えたことや発見したことなどを書き込む
3. 時間で区切って、調書をランダムに交換する
4. 交換した調書に記されている作品を鑑賞
5. 自分の言葉を書き足していく
6. ふたたび調書をランダムに交換する
これを何回か繰り返すことで、調書にはどんどん言葉が重なっていきます。
音声での会話を避けて、他の参加者と一緒に作品を鑑賞する試みです。
調書(ワークシート)には書き込みしやすいように、
「第一印象」「だんだん見えたもの」「疑問点」「スケッチ/図」「特に注目すべきところ」など
いくつか項目を設けています。
またこの内容を「スパイ大作戦:ミッション・イン・ミュージアム」と題して、
各自、スパイになりきってもらい、美術館での極秘リサーチのミッションということにしてみました。
スパイなら「発話をしない」「距離を保ちながら」「ひとりずつ」活動することがまったく不自然ではない(?)ですよね。
スパイでなくとも、人前で発言するのが苦手だったり、聴覚や話し言葉に不自由があったりする場合に、このような記述式での「対話」が有効かもしれません。
シートは無記名で、手にとった人以外には最後まで中を見せずに終了し、持ち帰ってもらうことにしました。
ですのでスタッフや教員も、中身を見ていません。
(提出物は参加しての感想のみ)
作品を見ることや、そこで感じた言葉はもともとプライベートなもので、評価の対象ではないということと、
日頃の外出もままならない中で、久しぶりに美術館に来る学生さんも多く、作品との出会いを楽しんでもらいたいという考えからです。
感想の一部をご紹介します。
■ミッションを行うことによって、ひとつの作品でも様々な見え方があることが分かりました。
会話は今回はしないというルールがありましたが、感想を書いたものをシャッフルして読むことで、その紙で他の人と会話をしているようで面白かったです。
■自分だったら選ばないような作品を 15 分以上鑑賞するということが新鮮でした。
また、一つの絵についてディスカッションするのは少し勇気がいるけど、今回のミッションのようなやり方だったら、他の人が考えたことや感じたことを知ることもできるのが良かったと思います。
■自分にはこう感じられるけど、相手は違う感じ方をしているということが多かった。
私は四回目に自分が選んだ絵画のミッションが回ってきて、2人の意見を見ることができた。
共感してくれている意見や、全く反対の意見もあり、絵画から受ける印象は限りがないことを再確認した。
ぜひまたやってみたいです。
■1番最後に、最初自分の選んだ調書をもう一度見られたら、より深く「新しい視点」について考えられたのではないか、という印象を受けました。
■前に書いた人が後に書いた人の意見を見れないのは少し残念だと思った。
回ってきた調書に、前の人の意見に反応したコメントのようなものがあり、本人に見せてあげたいと感じた。
だけど匿名だから意見を書きやすいというのも感じたので、ここは難しい点だと思った。
偶然同じ作品を取り扱った別の調書が回ってきて、その調書ごとで書かれている意見が異なっていたことが興味深かった。
まだまだ工夫の余地はあると思いますが、この状況のなかでできる、ひとつの方法として効果的だったかと思います。
急速に充実しているオンラインのプログラムで、多くの新たなつながりを体験できることは素晴らしいと思います。
ただ今回は、実際にその場所まで足を運び、たった一枚の紙に言葉を書いて、たまたまそこにいる授業仲間の誰かとだけ共有するという、閉じつつ、つながるようなプログラムを目指しました。
こうしたコンパクトで身近なコミュニケーションにも、豊かなひろがりがあることを感じてもらえたら嬉しいです。
参加した皆さんにとっても、作品との向き合い方を考える上で、今後につながる気づきがあれば幸いです。
音楽鑑賞の場として、所蔵のチェンバロを中心としたバロックコンサートを定期的に開催するほか、ジャズやクラシックなど様々なジャンルの演奏家によるディナー付きコンサートも企画・開催しています。併設するフレンチレストラン「ロセアン」では、ランチ・ティータイムはもちろん、美術館閉館後もゆったりとした空間でライトアップされた庭園を眺めながらの本格的なディナーが楽しめます。