親子ワークショップ「パピエ・コレで街づくり」を開催しました
更新日:2015年8月30日(日) 【nakata Labs なかたラボ】
ひと雨ごとに涼しくなっている尾道です。
秋の気配を感じる8月最後の土曜日、親子ワークショップ「パピエ・コレで街づくり」を開催しました。
パピエ・コレとは、フランス語で「糊の付いた紙」の意味で、色紙や、新聞紙などを貼り付けて構成された作品や
技法のことを言います。
今回のワークショップでは、様々な種類の色紙や包装紙に加えて、
展示している作品を白黒に印刷した紙も材料として使いました。
支持体となるのはじゃばらの本のような厚紙。半立体のパピエ・コレを作ります。
小さいころドールハウスで遊んだ時のように、建物の奥行きを感じることで、より想像力が湧きますよね。
まずはじめにウォーミングアップとして、「かたちさがし」を行いました。
さんかく、しかく、かまぼこ型を展示されている絵の中から見つけます。
さんかくは屋根にたくさん隠れていました。しかくは窓や扉、かまぼこ型は絵の中を歩いている人の帽子!
みんな絵をじーっくり見て、大人が見つけられなかった小さなところまでたくさんのかたちを見つけてくれました。
少しほぐれたところで、パピエ・コレの始まりです。
なかなか聞き慣れない言葉なので、みんなはじめは戸惑うかな?と心配していましたが、
そんな私の心配はすぐに吹き飛ばされました。
子どもたちは材料を手に取った途端、どんどん手を動かし、まちづくりを始めていきました。
折り紙を切って貼り付けたり、厚紙に穴をあけて窓にしたり。
展示作品に登場する街を組みあわせたり。
お菓子の街やおおきな金色の太陽の街、雷雨降り注ぐ嵐の街。
川が流れて、船が泳いで、空には飛行機、雷、しゅりけん!…手裏剣?
ポコポコ溢れるように作り出され変わっていく街並みは、年月の流れさえも感じさせます。
なんとなかた美術館を作ってくれた子もいました!入口があって、受付があって、そして階段!
細かい所まで再現されています。
子どもたちが作ってくれた街は、カラフルだったり、いろいろな形の建物や窓があったりとっても楽しそうです。
こんな街を訪れてみたいですね。
いったいどんな人が暮らしているのでしょう。
参加者の皆さん、ありがとうございました!
子どもたちやお母さんの夏休み最後の思い出になってくれていたらうれしいです。
レクチャー「街とスケッチ」を開催しました
更新日:2015年7月15日(水) 【nakata Labs なかたラボ】
今日は、台風が来るとは思えない青空になりました。
急に暑くなって、緑が一段と濃く感じられます。
さて、遅ればせながら先日のnakata Labsレクチャー『街とスケッチ』の様子をご紹介いたします。
開催中の展覧会は「コレクションプラス 街を描く」。
街を描けば必ず登場するのが、さまざまな建築ですよね。
そこで、建築家で、NPO法人尾道空き家再生プロジェクトの理事でもある渡辺義孝さんをお招きしました。
かつて、渡邉さんが建築家としての修業を始めたときに、師事した鈴木喜一氏から、
毎日必ずスケッチをしろ、というひとつの条件付きで約3ヶ月の旅に出されたのだそうです。
それ以来、現在に至るまで中央アジアやユーラシアなど、約50ヶ国を旅し、
それぞれの街で出会った人や建築をスケッチしてこられました。
建築の造りや細部には、どうしてそうなっているのか、ひとつひとつ理由があるとのこと。
そこに気づくには、描いてみることが一番です。
正確に描こうとしたとき、いったいどのくらい見ているのか、渡辺さんは一度数えてみたそうです。
するとだいたい4〜5秒に一回、一分間に13回だったそうです。
スケッチをしなければ、なかなかそれだけの回数、真剣に見ることはできないのではないでしょうか。
展示作品についても、いくつかピックアップしてお話いただきました。
ノートルダム寺院の正面ではなく、あえて裏側の骨組みが見えている作品。
駅を描きながら、中央部分が汽車の黒い煙でもやもやしている作品。
賑わう市場をカラフルに描き、人いきれが感じられる作品・・・。
それぞれに建築愛や、そこに暮らす人の生活や人生が感じられます。
渡辺さんのお話はまさに旅のように、フランスからアルメニア、グルジアやパキスタン、
そして陸前高田や白馬村、久留米、向島や御調のことへ、連綿と連なっていきます。
道と家並みの関係から歴史を想像したり、スケッチしながら建築の構造を読み解いたり、
都会と郊外、駅舎や教会、工場、カフェなど人が集まる場所、民家やかつて人が暮らした遺跡・・・
建築を見ること、描くことは、その街の歴史や人々の暮らしに思いを馳せることでもあるのだと感じました。
また渡辺さんは、尾道に多く残る洋風建築の調査もしてこられました。
洋風建築には、レンガ造りやアーチといったぱっと見て分かりやすいものだけでなく、
モルタルの風合い豊かな「ドイツ壁」や、屋根の角を落として優美に見せる「ヒップゲーブル」、
軒の裏に板を張る、などといった細かい特徴を持つものもあるそうです。
そんなディティールに気付くのも、スケッチをしているからこそ。
自分で描いた街のことは、忘れることなく記憶に残るのだとおっしゃいます。
そして悲しいことに、守られてきた建物だけでなく、戦火や災害で壊れてしまった建物もあります。
時には描くことができない、ためらわれるようなこともありました。
しかし、様々な事情で壊さざるを得ない建物のスケッチや図面が、建物の持ち主に心から喜ばれたというご経験も。
描かれた建築の姿は、写真や映像とはまた違うあたたかさを持った、かけがえのない記録になりうるのだと感じました。
このほかにも書ききれないほど、たっぷりお話いただきました。
渡辺さんのお話を聞いたあとは、改めてじっくりと作品を見てみたくなります。
実際に普段よりも、ゆっくり鑑賞してくださる方が多いようでした。
皆様ありがとうございました!
「コレクションプラス 街を描く」 は、9月27日(日)まで開催中です。
ぜひそれぞれの街に思いを馳せながらお楽しみください。
ワークショップ「絵の中の街並みスケッチ」を開催しました
更新日:2015年7月9日(木) 【nakata Labs なかたラボ】
先日、ワークショップ「絵の中の街並みスケッチ」を開催いたしました。
展覧会の作品を好きな画材で模写をする、というとてもシンプルな内容ですが、
日本ではなかなか体験出来ないプログラムではないかと思います。
まずはじめに展覧会作品を鑑賞したのですが、
普段は純粋に鑑賞できる作品も、これから模写をすることを考えると
これは描きやすそう、難しそうといった目線で作品を見てしまいます…。
そして作品を選んで描きはじめます。
慎重に鉛筆で形をとっていきます。
ただ、今回展示してある作品は建物が描かれた作品が多く、
しかも外国の建物は窓がたくさんあったり複雑な形をしていたりして
形をとるのにかなりの集中力を必要とします…!
皆さん黙々と描いておられました。
着彩の道具は、水彩絵の具やアクリル絵の具、クレヨン、色鉛筆を使いました。
こちらの方は、ブラマンクが描いた田舎町の風景を透明水彩で描かれていました。
ブラマンク独特の、ずっしりとした空気が一転してさわやかな作品になりました。
ブラマンクの作品がザアザアと大きな木を揺らしながら吹く風だとすると、この模写された作品はさらさらと
穏やかな風が吹いているようです。
画材が変わるとまた雰囲気も変わりますね。
それも模写の面白いところの一つです。
今回は3時間の制作時間だったのですが、まだまだ時間が足りない、あと1日描きたいという声も!
確かに観察しながら正確に形をとっていって、
色味も真似して描くためにはじっくりじっくり描き進めなければなりません。
なかなか根気のいる作業でしたが、模写をしていくことで鑑賞だけでは気づかないことを
発見することができました。
参加者の皆さん、ご参加頂きありがとうございました。おつかれさまでした!(←心をこめて…!)
音楽鑑賞の場として、所蔵のチェンバロを中心としたバロックコンサートを定期的に開催するほか、ジャズやクラシックなど様々なジャンルの演奏家によるディナー付きコンサートも企画・開催しています。併設するフレンチレストラン「ロセアン」では、ランチ・ティータイムはもちろん、美術館閉館後もゆったりとした空間でライトアップされた庭園を眺めながらの本格的なディナーが楽しめます。