広島県尾道市(しまなみ)の美術館/ポール・アイズピリ、ピカソ、ルオー、小林和作、梅原龍三郎、中川一政、林武などを所蔵。チェンバロによるコンサートやフレンチレストランでの食事も楽しめます。

 
なかた美術館
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ワークショップ「絵の具を作ろう」を開催しました

更新日:2023年10月8日(日) 【nakata Labs  なかたラボ】

 

こんにちは!

先日開催したワークショップ「絵の具を作ろう」の様子をお伝えします。

 

開催中の展覧会では、梅原龍三郎の作品を並んで3点ご覧いただけます。

 

1つ目は油絵具と岩絵具の両方を使った作品、

2つ目は東洋原産の花「牡丹」をモチーフにした油彩画、

そしてもう一つは富士を描いた日本画。ただし油彩画のような筆致で大胆に描かれています。

ちなみに油絵具は西洋発祥の絵具、岩絵具は日本画として使われている絵具です。

 

なんだか面白い試みをしているなと思いませんか?

 

 
 

「何を描いているか」も鑑賞を楽しむための要素ですが、

このように「何を使って描いているか」という切り口で見みるのも面白さの一つです。

鑑賞の窓を広げるために、今回は絵具についてみんなで学びました!

 

まずは絵具の仕組みについて。

絵具は大きく分けると二つの素材からできています。

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顔料(色の素となる粒)+展色材(糊の働きをする素材)

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例えば、黄色い絵具の中には黄色い粒がたくさん入っています。

 

 

そして、その顔料を紙やキャンバスなどの支持体に留まらせるために、展色材を混ぜ合わせます。

 

油絵具は文字通り「油」が展色材。油は酸化すると固まる性質があります。

日本画の展色材は「膠」という動物の皮から取れたコラーゲン。

そして水彩絵具は樹脂です。

 

 

もう少し掘り下げて、顔料そのものの成り立ちも学びました。

 

顔料にはいくつか種類があり、石や土など天然の素材からできているもの、

金属類を化学反応させてできたもの、

石油から取れる成分を化学変化したものなどがあります。

 

下の写真の「ローアンバー」や「イエローオーカー」は土を原料とした顔料。

自然界にある馴染み深い色味ですね。

 

 

鮮やかな色は、ほとんどが化学反応で作られています。

この鮮やかなピンク色の顔料のように、

胡粉という貝の粉や白い土に色を移して顔料にしたものもあります。

 

 

 

 

それでは実際に絵具作りをしてみましょう。

顔料にアラビアゴムという天然の樹脂を少量づつ混ぜていきます。

 

 

ヘラでゆっくりゆっくり混ぜ合わせます。

簡単そうに見えますが、粉が飛び散らないようにじっくり丁寧に混ぜ合わせなければいけません。

 

 

 

しっかり混ぜ合わせ、トロンとしたとろみになったら完成!

小さなトレーに入れて乾かしたら、固形水彩絵の具になりました!

 

 

 

 

いろんな色が並ぶとワクワクしますね!

 

 

ワークショップの様子は、まるで実験室のようでした。

美術は色んな分野と地続きだなあとつくづく思います。

(もう少し化学の基礎知識を身につけなければ!)

 

絵画の中の絵具も実は「物質」の一つ。

そんなことを考えながら絵を描くと、新しい発見があるかもしれません。

 

参加者の皆さん、ありがとうございました!

 

 

 

ワークショップ「夏休み子ども絵画教室」を開催しました

更新日:2023年9月3日(日) 【nakata Labs  なかたラボ】

「木曜日の絵画教室」のお試し版、「夏休み子ども絵画教室」の様子をお伝えします。

7月、8月と2回開催し、それぞれ異なったプログラムで開催しました。

 

第1回の7月は「支持体の違いを体験しよう!」

なかた美術館に展示している作品は、ほとんどがキャンバス(麻の布に下処理を施したもの)に描かれています。

 

 

キャンバスは紙よりも丈夫で油絵具で描くのに適しています。

作品をよく見てみると、布目のでこぼこしたタッチを見つけることができます。

 

ウォーミングアップとして、色鉛筆、水彩絵の具でドローイングリレーをしました。描き心地はどうでしょう?

 

 

布+水彩絵具はざらざらして描きにくい様子でした。

 

 

紙に描くとどうでしょう。

布に描いたときに現れる表情とはまた違った味わいです。

また、同じ紙という素材でも、でこぼこした水彩紙とツルツルしたケント紙では適した画材が変わってきます。 

 

 

そのあとは小さなキャンバスに思い思いに絵を描きました。

麻布のキャンバスを貼ったもの、水彩紙を貼ったものを2種類用意して描き心地の違いを体験しました。

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

にじみの具合がキャンバスと水彩紙では違っています。

支持体と描画材の組み合わせで、表現の幅が広がりますね。

 

 

そして8月、第2回目はコラージュ。

いろんな色の色紙を使って貼り絵を作りました。

テーマは「季節」。まずは作品を鑑賞して作品の中の「季節」を想像します。

 

 

「寒そう」「暑そう」「雪が降っていそう」「雨が降っていそう」など色んな意見がありました。

ではなぜそう思うのでしょう?

絵の中のどのあたりが根拠になっているのか考えます。

言葉にするのは難しいですが、モチーフや色合いから想像している方が多かったです。

これらをヒントに色紙を組み合わせてある季節の風景を作りました。

 

 

 

 

暖色、寒色から受ける印象、木々の葉っぱの色合いや太陽の色。

 

 

抽象的な形でも、その季節を想像することができます。

 

 

 

 

私たちが普段何気なく体験しているものの積み重ねが、こうやって作品を作るためのアイデアとなります。

その体験と表現の結びつきは個人差ががあり、それもまた面白さのひとつです。

 

 

 

 

作者はどんな季節を思い浮かべて作ったのか、想像してみてください!

 

 

 

 

なかた美術館の絵画教室は、いかに美術に興味を「持ち続けるか」が(裏?)テーマです。

美術に興味を持ち続けていれば、色んな作品に出会えたり、たくさん作品を作ったりできます。

(制作の経験が増えるほど、自然と技術も身につくはず!という願いも込めて…)

 

今回のワークショップで、「美術館って面白い場所だなあ」って思ってくれていたら嬉しいです!

参加者の皆さん、ありがとうございました!

 

 

ワークショップ『植物のかたち ー拓本づくりー』を開催しました

更新日:2023年6月23日(金) 【nakata Labs  なかたラボ】

新緑の爽やかな5月の日曜日、ワークショップ『植物のかたち ー拓本づくりー』と題して、植物学の講師・浜田展也先生をお招きし、植物の採集と拓本づくりを行いました。

 

 

 

なかた美術館の敷地には、裏山の斜面まで続く庭があり、たくさんの植物があります。

 

その環境を活かすべく、某朝ドラが始まる前から(!)当館ではたびたび先生にお越しいただいて、観察会や植物採集、標本作りを行ってきました。

 

今回は久しぶりに先生をお招きして、前半は植物の観察と採集、後半は拓本づくりという二部構成です。

 

先生とともに屋外に一歩踏み出すと、そこは一気に植物学のフィールドになります。

 

 

カエデやロウバイなど、おなじみの植物も、しっかり観察していくとたくさんの驚きがあります。

 

見ためはツルツルでも、触るとザラザラしていたり、手で触れることでの気づきもありました。

 

 

 

また先生は特にシダがご専門で、ほんの1〜2mほどの茂みにも、シダが何種類も生えていることを教えていただきました。

 

ベニシダ、トラノオシダ、イヌワラビ、ノキシノブ…。

 

名前を知るだけで、たくさんの植物がそこで生きていることが、果てしなく不思議に感じます。

 

 

 

続いて、おのおのが採集した植物で、「拓本(たくほん)」づくりを行いました。

 

拓本は物の形を記録する方法のひとつで、さまざまな取り方がありますが、今回は紙を湿らせて行う「湿拓」方式です。

 

 

 

対象物に和紙をのせ、濡らして密着させ、綿と布でつくった「タンポ」という道具で墨をつけて、表面の凹凸を写し取っていきます。

 

墨をつけすぎると真っ黒になってしまうので、要注意。

 

紙をしっかり濡らして張りつけておくこと、墨はほんの少しずつ載せていくことがコツです。

 

 

 

特徴がよく分かるように、葉や茎の置き方にも工夫が必要です。

 

拓本にすることで、葉のギザギザや、表面の微かな模様まで、植物がもつ形のおもしろさがくっきりと見えてきます。

 

ただ見ているよりもよく分かることもあり、生きた植物のかたちを実物に即して記録することにもなります。

 

仕上げに先生から再度名前を教えてもらったり、図鑑を使って調べたりして、それぞれラベルを付けました。

 

 

どれも立派な拓本に仕上がりました!

 

 

 

 

 

観察して、疑問を持って、調べたり、手を動かしたりしながら、学ぶことの楽しさを改めて実感できる体験になったかと思います。 

浜田先生、そしてご参加いただいた皆様、どうもありがとうございました。

 
 
 
 
 
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広島県尾道市(しまなみ)の美術館 コレクションは、フランス現代具象画家ポール・アイズピリ、ピエール・クリスタン、エコール・ド・パリを中心としたフランス近代絵画、梅原龍三郎、中川一政、林武ら日本近代絵画、尾道を代表する小林和作、絵のまち尾道四季展招待作家作品など、国内外の洋画を中心とした約200点。
音楽鑑賞の場として、所蔵のチェンバロを中心としたバロックコンサートを定期的に開催するほか、ジャズやクラシックなど様々なジャンルの演奏家によるディナー付きコンサートも企画・開催しています。併設するフレンチレストラン「ロセアン」では、ランチ・ティータイムはもちろん、美術館閉館後もゆったりとした空間でライトアップされた庭園を眺めながらの本格的なディナーが楽しめます。

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