ミュージアムコンサート「旅するチェンバロ〜ドイツ・オーストリアを訪ねて〜」を開催しました
更新日:2023年10月31日(火) 【コンサート】
皆さんこんにちは。
風も冷たくなり、だんだんと秋めいてきましたね。
なかた美術館では、10/29(日)にチェンバロミュージアムコンサート「旅するチェンバロ〜ドイツ・オーストリアを訪ねて〜」を開催しました。今回のコンサートはこれまでに行ってきた「旅するチェンバロ」シリーズの最終回です。チェンバロを起点に、ヨーロッパ諸国の音楽と歴史の関わりに触れ、それぞれの国で活躍した作曲家たちに注目したプログラムで開催してきました。
今回はフルートとのアンサンブルもありました。演奏してくださったのは、川本真利江さん(フルート)と小田郁枝さん(チェンバロ)です。
17世紀のドイツやオーストリアでは、神聖ローマ皇帝を中心とする諸侯たちの集まりが各地にありました。彼らは宮廷音楽を好んだため、音楽家たちは一層活躍の機会を得ることになりました。
バッハもそんな音楽家たちの中の一人です。市役所付の音楽家である父のもとに生まれ、自身の子どもたちにも音楽を教え、生涯音楽とともに生きました。演奏された《小プレリュード》はバッハの長男のための小曲集に入っています。
次に演奏されたのは《インヴェンション》です。子沢山で、いつも小さな子どもたちに囲まれていたバッハは、彼らの音楽の練習のためにこの《インヴェンション》を作曲しました。今回はソプラノパートをフルートで演奏していただき、チェンバロとフルートの共演を楽しみました。特に、《No.1 ハ長調》と《No.14 変ロ長調》はフルートの音色が軽やかで楽しげな曲でした。
同じくドイツの作曲家であるテレマンの楽曲も演奏されました。テレマンはオルガニストを経て、アイゼナハで楽長の任を受けました。同時代の作曲家であるヘンデルとはライプツィヒ大学時代からの友人であり、バッハとも親密な交友関係を結んでいました。クライアントの要望へきめ細やかに応じて作曲をしていたそうです。今回はテレマンの楽曲の中から《12のメトーディッシェ ゾナーテンより No.1》が演奏されました。少し寂しげな旋律で、だんだんと肌寒くなる秋にぴったりの楽曲でした。
休憩を挟んで後半からはベートーヴェンやモーツァルトの楽曲も演奏されました。
音楽史において極めて重要な位置を占めるベートーヴェンは、後世の音楽家たちにも多大な影響を与えました。今回は《歌曲「Ich lieve dich」》と《ピアノソナタ Op.49-2 ト長調》が演奏されました。
最後に、オーストリアで活躍したモーツァルトの楽曲も演奏されました。《オペラ魔笛 KV620より「何と まあ、素敵な音だ」》と《フルートソナタ KV14 ハ長調》の2曲でコンサートは締めくくられました。
「芸術の秋」にふさわしい、素敵な音楽の時間でした。
ご来場いただいた皆さま、出演者のお二方、ありがとうございました!
今回のコンサートで「旅するチェンバロ」シリーズは一区切りとなりますが、これからもなかた美術館でのチェンバロコンサートは続きます。皆さま今後ともよろしくお願いいたします。
次回のコンサートは
12/24(日)チェンバロミュージアムコンサート
毎年恒例のクリスマスコンサートです。今回もチェンバロの演奏とともに、クリスマスにまつわるお話の朗読をお楽しみいただけます。今年はクリスマス・イブの開催ですので、皆さまお誘いあわせのうえ、ぜひごお越しください。
「日本の風土と油絵 -日本近代絵画コレクション-」
更新日:2023年10月20日(金) 【展覧会】
ただいま開催中の展覧会では「日本の風土と油絵 -日本近代絵画コレクション-」と題して、大正から昭和にかけて日本の"洋画"を切り開いた画家たちの作品をご紹介しています。
油絵は明治以降、ヨーロッパから日本に本格的に導入され、遠近法や陰影の描写による写実的な表現や、そこに描き出される西洋の文化は大きな驚きを持って迎えられます。
新たな出会いを経た画家たちは、歴史も風土もまったく異なる日本で、どのように作品を描くべきか模索していきます。
大正から昭和にかけては多くの画家がフランスをはじめヨーロッパに遊学し、フォービスムやキュビスム、エコール・ド・パリなどの先進的で多彩な表現にも大いに刺激を受けました。
本展では、梅原龍三郎や須田国太郎など、西洋に学びながらも日本の伝統や風土に向き合い、表現を磨いた画家や、
藤田嗣治や荻須高徳などフランスの地に根付いて個性を発揮した画家たちの作品をご覧いただけます。
また彼らが学んだピエール=オーギュスト・ルノワールや、ジョルジュ・ルオーといったフランスの近代画家たちの作品や、
国内外の美術を伝える上で大きな役割を果たした文芸誌『白樺』や美術雑誌『みづゑ』といった資料、
尾道を拠点にした洋画家・小林和作の作品も、新たな関連資料とともに展示しています。
変化する時代の中で、自身の表現を探求した画家たちの個性豊かな作品をお楽しみください。
展覧会「日本の風土と油絵 -日本近代絵画コレクション-」は 2024年2月18日(日)まで開催しています。
暑さも少し落ち着き、おでかけの機会も増えてきたかと思います。この機会にどうぞお立ち寄りください。
職場体験を実施しました
更新日:2023年10月15日(日) 【nakata Labs なかたラボ】
こんにちは。
先日、なかた美術館では職場体験を実施しました。新型コロナウイルス感染の影響によりしばらく実施ができませんでしたが、3年ぶりに再開することができました。
今回は市内の2つの中学校からそれぞれ2名ずつ、計4名の方が来てくださいました。
まずは学芸員と一緒に館内を回り、展示や作品について学びます。
その後、実際にお客様と接する受付の仕事にも挑戦してもらいました。
緊張することも多かったと思いますが、しっかりと取り組んでくれました!
9/9(土)から開催の『日本の風土と油絵』展の展示作業も行いました。
解説パネルの設置や、スクラップの展示など、慣れない道具や細かな作業に苦戦しながらも、展示を完成させてくれました。
別の学校から来てくれた2人には受付対応の他に、展示作品のリサーチをしてブログに紹介記事を書いてもらいました。
以下は、それぞれ2人が書いてくれた記事です。作品の写真も2人が撮影しました。
モーリス・ド・グラマングの『チーズとハム』という作品を見て気が付いたところや考えたことは、1つ1つの絵の色に濃い色や深い色が沢山使われていて薄くしたり濃くしたり重ねたりして似たような色でも何色も使って細かくリアルに塗られていることや、作品名の通りチーズケーキとハムの絵も描かれていて、他の絵は黒やグレーなどの暗い色がメインに沢山使われているけれどチーズケーキとハムは他の絵には使われていない赤や白などの目立つ色が沢山使われていて近くから見ても遠くから見てもチーズケーキとハムが1番最初に目に入るくらい赤が強調して見えるところから『チーズとハム』と言う作品名になったのかなと言うところです。どの距離で見るかによって見え方が変わっていて、近くで見ても綺麗な作品ですが、遠くから見ると本物に近くもっと綺麗な作品に見えるので見え方にも工夫されているのかなと考えました。
●作家について
ポール・アイズピリ
●取り上げた作品
パリ・セーヌとノートルダム
●制作年
1955
●素材
油彩 キャンパス
○内容
パリの中心シテ島にあるノートルダム大聖堂の背面をサン・ルイ島から川越に見た構図です。アイズピリはパリ・モンパルナス生まれの画家で、第二次世界大戦後に力強い具象表現で活躍した画家です。この作品では大聖堂の存在感とセーヌのゆるやかな流れが、重厚な色彩と迫力のある筆致で描きだされています。
○展示方法ついて
この作品は主にセーヌ川とノートルダム大聖堂が特徴の作品です。この作品の展示方法で小さな絵画の中に大きな絵画があって目立ちやすく、照明の光の当たり具合がよくて明るい色を使って表現しているこの作品とマッチしていてとてもいい展示方法です。
○意見
・タッチが力強く、そして細かく表現されており、建物の金蔵光沢や水面を反射がよく分かる作品です。
・反射に使用した橙色で、太陽の場所や動きが良くわかる作品です。
・河岸のレンガには、ツタ植物やコケなどが描かれていて時代を感じる作品です。
・空の真ん中が白く明るい雲を表していると感じ、端に行けば行くほど青く静けさを表現しています。
・船が通った所の場所の波紋や泡を表現して絵の中でも物が動いている、そんな事を感じさせる表現を使用しています。
2人とも作品をよく観察して細かく分析してくれました!新鮮な眼差しで作品を見てくれたので、いつも作品を見ているスタッフでも気づかないようなことも書いてくれていました。
職場体験に来てくれた4名の皆さん、3日間お疲れ様でした!
見守っていただいた来館者の皆様、お世話になった地域の皆様も、ありがとうございました。
音楽鑑賞の場として、所蔵のチェンバロを中心としたバロックコンサートを定期的に開催するほか、ジャズやクラシックなど様々なジャンルの演奏家によるディナー付きコンサートも企画・開催しています。併設するフレンチレストラン「ロセアン」では、ランチ・ティータイムはもちろん、美術館閉館後もゆったりとした空間でライトアップされた庭園を眺めながらの本格的なディナーが楽しめます。