「着る風景」開催しました。
更新日:2013年7月28日(日) 【nakata Labs なかたラボ】
本日、nakata Labsのワークショップ「着る風景」を開催しました。
風景画を見るだけじゃなくて、Tシャツに描いて着てみよう!という企画です。
ペアの参加者に向けたワークショップということで、
たくさんの方が親子で一緒に参加してくださいました。
まずは、みんなで風景画を鑑賞して、気になる形をスケッチしていきました。
写真奥に見える、中村琢二が描いたガードレールの絵、《外房州》が人気でした。
そのあとは、さっそくTシャツにとりかかります!
まっしろな上に、アクリル絵の具でスタンプをしていきます。
ぺたぺた。
ぎゅぎゅっと押して。
スタンプは、スタッフのお手製。
森の木々をイメージしてつくっています。
あれ?夏なのに長袖?と思われたかもしれませんが、
ふたりがそれぞれ着て、手を繋ぐと、つながってひとつの風景!になる、
というのを目指して、長袖にしています。
ばっちり、つながってます!
筆で、思い思いに描きこんでいったり。
ペアで同じ色を使うと、とってもキレイにつながっていきます。
お家や、
お姫様も登場します。
みなさんが、がんばって描いて、格好いいのや、かわいいのが完成しました!
今日は残念ながら時間内に乾ききらなかったのですが、乾けば、お洗濯にも大丈夫です。
ぜひぜひペアで着て、手を繋いで見ていただきたいなあと思います。
今日は雨降りだったのですが、たくさんの子どもたちが来てくれて、
美術館の中が、ぱあっと明るくなったような気がしました。
どうもありがとうございました。
今後も、こうしたお子さんと一緒に楽しめるようなワークショップを開催していきますので、またご参加いただければと思います。
そして、もちろんワークショップのない日でも、お子さんとご一緒に美術館へ、というのが、もっともっと身近になっていけば嬉しいです。
「絵の中の庭」開催しました。
更新日:2013年7月15日(月) 【nakata Labs なかたラボ】
本日、ガーデントーク「絵の中の庭」を開催しました!
ガーデントークはこれまで、春から冬まで、美術館の庭園や・・・
裏山で・・・実物の植物に囲まれて、開催してきました。
講師は浜田展也さん。
ずっと、高校の先生でありながら、研究も続けてこられた植物のエキスパートです。
今回は「Paysages 風景画」を開催中の展示室の中で開催します。
絵に描かれた植物や自然について伺っていきました。
これは、このレクチャーのきっかけとなったコローの風景画です。
これまでのガーデントークで先生を招いた際に、この作品の季節はいつですかねえ、と何気なく尋ねたところ、
・水辺に生えているのは葦。
・その葦が長く伸びているので春ではない。
・水辺に生えるハンノキやヤナギの仲間は、落葉が早い。
などの推理を重ね「夏の終わりから秋の初め」というかなりピンポイントなお答えをいただいたのです!
美術史的な情報を集めるのとは違う、科学的なアプローチで絵のことが分かる。
それもマテリアルやテクニックの事ではなく、描かれた内容に迫っていける。その感覚がとても新鮮でした。
いつか絵の話を聞いてみたい!と思っていたのが、今回の「Paysages 風景画」展で、実現したという次第でした。
(あと、今の時期は外が暑い&蚊が出る・・・という理由もあります(笑)
ちょっとした絵の具のタッチで、これは葦だと、ぱっと分かってしまう先生は本当にすごいです。
そして植物を知っている人に、そうと伝わるタッチで描いたコローも、やっぱりすごい。
それでも、中根寛《刈り込まれた樹のある風景》の前では、さすがの浜田先生も「う〜〜〜ん」と腕組み。
「ここまで刈り込まれちゃうとなあ・・・」と。
自然な枝ぶりでないと、なかなか難しいですね。
しかしこの植物は何々です!と名前までは分からなくとも、例えばその土地特有の気候に合わせた植物の組み合わせがきちんと描かれていたり、
絵の内容を、意味や心情的なもの、演出、効果でなく、徹底してサイエンスの知見から分析していく、という事自体が、とてもスリリングでした!
また意外だったのは、森谷南人子の《伯耆大山》の木々は、けっこうイメージで描かれていること。
てっきり写実に基づいているのだろうな、とイメージで考えていました。
そして逆に、情緒的な雰囲気の小林和作の《志賀高原の秋》や《春の湖》は、むしろ実際に近いということでした!
特に、この《春の湖》ふんわりとグレーがかったようなピンクは、実際のブナ林の芽立ちの色なんだそうです。
冬が明けて、これからいよいよ緑になるぞ!という直前の、2〜3日しか見られない、
何とも言えない美しい色だそうで、それをよく表しているように見えるとのことでした。
和作の、鮮やかで主観的な色使いの、本当の意味を知ったような気がします。
また印象的だったのは、尾道の風景にまつわる話です。
この辺りの山に生えているのは、基本的にはカシ、アラカシなどがすごく多いのだそうですが、
しばらく前は、アカマツの林だったそうです。
確かに、1961年の中川一政の《塔(尾道)》では、細かい描写はないのですが、針葉樹らしい濃い緑で山が描かれています。
そして1987年の野田哲也の《Diary: Aug. 26th '87, in Onomichi》では、松とカシが混在していているのが、木々のシルエットや明暗によって見えてきます。
時代によって、同じ尾道でも見られる植物は違っていて、それが確かに作品に現れているというのがとても面白かったです。
ビュフェの作品《花咲く農家》では、
家の後ろの木立が、不自然に見えるけど、実はフランスの田舎に見られる剪定の仕方である、とか
家の手前に生えているちょっと不思議な花も、葉の大きさや色、花の付き方からして、花カンナだろうと。
そうした暖かいところの植物が、わざわざ植えられているから《花咲く農家》という主題で描いたのだろうということ。
そして、たとえ花の名前は分からずとも、この作品にはちょっとした違和感がフックとしてあるから、魅力的なんだろう…と話が展開していきます。
なるほどー!と膝を打ちたくなる瞬間でした。
この他にも、書き尽くせないほど、たくさんのお話を聞けてとても楽しかったです。
ガーデントークで先生と歩く庭が、いつもと全然違って見えるのと同じように、
風景画も全く違うベクトルで見ることができて、大変実りのある時間でした。
浜田先生、そしてお集まりいただいたみなさま、どうもありがとうございました!
次回の nakata Labs なかたラボは
7月28日[日] 14:00〜16:00
「わたし」が見ている風景と、隣にいるあの子が見ている風景は、
どんなふうに違っていて、どんなふうにつながっているのでしょう。
あなたにとっての風景を、Tシャツにペイントして、一緒に身にまとってみましょう!
親子ワークショップと書いていますが、きょうだい、カップル、お友達同士でも、大歓迎です◎
ぜひご参加下さい!!
コレクションプラス「Paysages 風景画」展がスタートしました。
更新日:2013年7月2日(火) 【展覧会】
コレクションプラス「Paysages 風景画」展がスタートしました。
日本とフランスの風景表現について、
コレクション作品と、今回に合わせて特別に選んだ借用作品を組み合わせて展覧しています。
写真の像を用いて、“絵画”を描き続けている小山穂太郎、
“日記”という私的なフィルターを通して制作を続ける野田哲也、
風景の姿に普遍的な命を宿らせる奥山民枝など、現代の作家の作品と、
コローやマルケ、ヴラマンク、須田国太郎など近代作家の作品とを行き来しながら、
多角的なアプローチで、風景に迫っていきます。
これまで尾道の風景は、様々なイメージで語られ、絵画や写真、映画、広告などの中に表現されて来ました。
“絵のまち”、“歴史ある街”、“坂道と路地の街”などなど・・・。
私たちが尾道を歩き、見るときに、そうして作られたイメージに導かれて見てしまってはいないでしょうか。
そこから逃れることは簡単ではありませんし、作られたイメージ=理想があるからこそ、守られてきた風景ということもできます。
しかし今回は、そのイメージについて、そしてその向こうにある現実の風景の姿について、想いを巡らせてみたいと考えています。
10月14日(月・祝)まで開催しますので、この機会にお越しいただければ幸いです。
nakata Labsも色々と開催していきます!
まずは、毎回好評をいただいている、浜田先生のガーデントークの絵画版をお届けします。
7月15日(月・祝) 14:00〜15:00
「絵の中の庭」
大変申し訳ございませんが、事情により
展覧会チラシに表記している時間を変更させていただきました。
何卒ご注意のほどお願い申し上げます。
展示室の中を散策しながら、
風景画に描かれた、様々な時代・土地・季節の植物や、自然のあり方について、
専門家の見地から、解説していただきます。
絵の中には、下にあげている以上に、ありとあらゆる植物が見つかります。
浜田先生は、ほんの小さく描かれているだけのものや、ざっくりした筆致での描写でも、
その他の植物との関連、その地形など、総合的な姿から、
その植物が一体なんであるか、を読み解いてしまいます。
今回は、いつものように「歩きやすい靴」でなくても大丈夫ですので、ぜひお気軽にご参加下さいませ。
音楽鑑賞の場として、所蔵のチェンバロを中心としたバロックコンサートを定期的に開催するほか、ジャズやクラシックなど様々なジャンルの演奏家によるディナー付きコンサートも企画・開催しています。併設するフレンチレストラン「ロセアン」では、ランチ・ティータイムはもちろん、美術館閉館後もゆったりとした空間でライトアップされた庭園を眺めながらの本格的なディナーが楽しめます。