
更新日:2022年11月25日(金) 【nakata Labs なかたラボ】
こんにちは!
先日開催したワークショップ「尾道水道を渡る船」の様子をお伝えします。
尾道は古くから造船業が盛んな街で、本州側の中心市街地と対岸の向島の間にある「尾道水道」には修理を待つ船やタグボートが行き交っています。造船所では大きなタンカーも見ることができます。
また尾道水道には住民が通勤や通学のために使う「渡船」も行き交っていて、尾道では暮らしのすぐ側に船があり、とても馴染み深い乗り物なのです。
展示している尾道の風景画の中にも、船がたくさん描かれています。
今回のワークショップでは、身近にある船や憧れの船、空想の船を作ってもらいました。
船の土台となるのは断熱材。あらかじめ船の甲板の形にカットしています。
軽くて加工も簡単な、便利な素材です。
針金やストローを刺したり、テープを巻いたりして装飾していきます。
例えば、こんな風にプスプスっとストローを差し込んで
屋根をつけると、日除けつきの釣り船になりました!
こちらは消防艇。たくさん放水できるように赤いストローがたくさん付いています。
断熱材を積み木のように重ねて、豪華客船のイメージ。
たくさんの人が乗れそうですね。
こんな工夫も。
小さな木片に人やカーテンが描かれています。
船に貼り付けると窓になりました!
人が船から外を覗いているようです。
カラフルなシールでタイヤを表現して、可愛らしい船になりそうです。
船が出来上がったら、水上を走らせてみました。
実は船の下には手廻しのスクリューを取り付けています。
スクリューを回して、そおーっと水に浮かべます。
「東京消防庁」のカイトもついてかっこいい!
素敵な配色の船。
こんな船があったらぜひ乗ってみたいです!
円窓が印象的な船。どんなところも走れそうです。
忠実に再現された豪華客船。
屋上にはテニスコートやプール、救命ボートも付いています。
海の上でのんびりと暮らせそうな船です。
出来上がった船はどれもこだわりの詰まった楽しい船になりました。
参加者の皆さん、ありがとうございました!
更新日:2022年10月30日(日) 【コンサート】
みなさん、こんにちは。
すっかり寒くなりましたね。もう冬も間近に迫っている感じがします。
なかた美術館では、10月23日にミュージアムコンサート「旅するチェンバロ ~イギリス・北欧をたずねて~」を開催しました。
今回のコンサートではイギリスや北欧で活躍した作曲家の曲を中心に、チェンバロとフルート、そしてヴァイオリンでの演奏が行われました。
また、演奏とあわせてお話と画像でも作曲家や音楽の魅力を紹介していただきました。
演奏してくださったのは、ヴァイオリン・尾﨑奏子さん、フルート・岡野映さん、チェンバロ・小田郁枝さんの3名です。
今回はいつもより少し長い1時間半のプログラムで、前半と後半に分かれた2部制での開催でした。
前半では、ファーナビーやバードなどイギリスの作曲家の曲を演奏していただきました。イギリスにはチェンバロの奏者、当時で言うところのヴァージナリストがたくさんいたそうです。
ドイツ生まれの作曲家として有名なヘンデルの曲も演奏していただきました。実は、ヘンデルはドイツで生まれ、イタリアで修業をした後にロンドンで活躍します。そして、後にイギリスへ帰化しました。
前半の最後はビショップの《「ホーム・スイート・ホーム」による変奏曲》を演奏していただきました。こちらは日本では「埴生(はにゅう)の宿」という名前で親しまれている楽曲です。ビショップはロンドンで生まれ、王立歌劇場の専属作曲家としても活躍しました。チェンバロとヴァイオリンによる演奏で、もの悲しい旋律と明るく華やかな旋律が見事に表現されていました。
コンサートの後半はエルガーの《愛のあいさつ》から始まりました。イングランドのウスター近郊で生まれたエルガーは、調律師の父の仕事へついてゆき、そこで演奏をしていました。独学で音楽理論を学びましたが、後に国王の音楽師範も務めるようになります。《愛のあいさつ》は妻・アリスと婚約した際にその記念として贈られた楽曲です。美しくなめらかな旋律をヴァイオリンとチェンバロで演奏してくださいました。
後半の最後はノルウェー生まれのグリーグによる「ペールギュント組曲」から、《朝》《ソルベーグの歌》《アニトラの踊り》の3曲を披露していただきました。「ペールギュント組曲」はイプセンが作った戯曲で、元々は舞台で上演するための曲ではありませんでした。それを上演に当たってグリーグが作曲し、結果としては大人気で1年のうちに36回演奏されたそうです。
3曲の中で特に《朝》は、日本でも非常に有名な曲です。みなさんも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?朝のすがすがしさがフルートとヴァイオリン、チェンバロで巧みに表現されていました。特に、フルートの音色は朝の小鳥のさえずりのような美しい響きでした。
今回はたいへんボリュームのある充実したコンサートでした。芸術の秋を堪能できたのではないでしょうか。
ご来場いただいた皆さま、出演者のお三方、ありがとうございました!
なかた美術館では皆様に心休まるひとときをご提供できるよう努めてまいります。
ご来館の皆様へは以下のことをお願いしております。
併せて「新型コロナウイルス感染症への安全対策について(最新版)」もご確認ください。
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・発熱や咳など体調不良がある場合は、来館をご遠慮ください。
・ご入館の際のアルコール消毒と検温にご協力ください。
・館内での咳エチケットや、適宜マスクの着用にご協力ください。
・アルコール消毒液やハンドソープを設置していますので、ご自由にお使いください。
・館内では大きな声での会話を控え、人との距離を保ってご鑑賞ください。
・やむを得ず入館制限を行う場合がございますので、ご了承ください。
・団体鑑賞の受け入れや館内でのイベントについて、対策を施した上で順次再開しています。
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次回のコンサートは
12/25(日)チェンバロミュージアムコンサート
次回は毎年恒例のクリスマスコンサートです。今年はクリスマス当日の開催となっています!
演奏に加えて、心あたたまるクリスマスのお話の朗読も行われますので、皆さまぜひお越しください。
更新日:2022年10月13日(木) 【展覧会】
当館では先週末より、『尾道の風景』展を開催しています。
タイトルのとおり、コレクションのなかから尾道を描いた作品をまとめて展示しています。
“尾道”とひとことで言っても、“尾道らしい”風景のなかで個性を発揮したものから、日常の一瞬を切り取ったもの、心象風景として描いたものなど、さまざまです。
尾道水道、寺や石段だけでなく、向島から尾道市街を見る構図、あまり知られていないような場所を描いたものなど、画家たちがそれぞれの視点で見表情は、実に多彩です。
一枚一枚の作品からは瀬戸内の多島美、入り組んだ路地や坂道など、今も変わらない姿、そして海岸沿いの雁木や“尾道城”など、今では失われてしまったものも見つけることができます。
これらの多くは、今から約40年前に行われた「絵のまち尾道四季展」の第一回展にあわせて行われた滞在制作による作品です。
当時の日本画壇を代表する画家達、そしてアンドレブラジリエやジャン-ピエール・カシニョール、ポール・アイズピリなど、国内外から画家たちを尾道に招き、多くの作品が描かれました。
普段は風景画をあまり描かない画家も含め、各々が個性を発揮して描いた作品群は、当館のコレクションのなかでも他に例のない貴重なものとなっています。
また2001年に尾道に移住した後、風景画を多く描いた画家・塩川髙敏の作品を改めてご紹介しています。
きめ細かな絵肌と繊細な色調による、卓越した油彩表現が特徴で、尾道で見られる優しい自然の形と、人の営みが生み出す形が調和した風景を多く描きました。
そして今も街で愛される風景画家・小林和作の作品も展示しています。
尾道を拠点に、身近な自然を描いたものから、信州の雄大な山や海を描いたものまで、風景画家としての歩みを感じていただければ幸いです。
11月4日は和作忌でもあり、尾道市内では小林和作の旧居や、ゆかりの建物を見学できる「和作ウィーク2022」、商店街のウインドーにたくさんの作品が飾られる「和作忌協賛街頭展」など、関連の催しも盛りだくさんです。
当館でも、関連のワークショップや街歩きレクチャーなどを企画しています。詳しくは展覧会のページを御覧ください。
開館 25 周年記念なかた美術館コレクションⅢ『尾道の風景』は 2023年2月19日(日)まで開催しています。
お出かけにも良い季節になりました。
ぜひ尾道の街歩きといっしょに、絵のなかの尾道散策をお楽しみください。