広島県尾道市(しまなみ)の美術館/ポール・アイズピリ、ピカソ、ルオー、小林和作、梅原龍三郎、中川一政、林武などを所蔵。チェンバロによるコンサートやフレンチレストランでの食事も楽しめます。

 
なかた美術館
トップページ ≫ スタッフのブログ

8/3(日)に「アーティスト・ミーティング」と題し、参加作家を招いたトークイベントを行いました。

村上友重さん、安田暁さん、稲川 豊さん。

聞き手に、AIRzine編集室からお二人、福山大学メディア情報文化学科の阿部さんと、鞆の津ミュージアムの学芸員の津口さん。

司会は私、なかた美術館・学芸員の国近です。



各作家に、作品について話していただく第1部と、車座トークの第2部。

休憩もはさみつつ、最終的にはなんと3時間半越え!!の長丁場になってしまいました。

それでも、さまざまな疑問が完全に解消されることはなく、むしろ聞きたいことが増えていくばかり…。

全然時間が足りなかったかなあと、またそれ以上に、司会の私が至らない点が多々あった故と反省もしきりですが…。

ご参加いただいた皆さま、ご質問&ご静聴、長時間のお付き合い、本当にありがとうございました!


さて、その記録として何回かに分けて、当日の様子を載せていきたいと思います。

まずは村上友重さんから。




 村上さんが写し撮っているのは、霧や星の光など。

「見たことのない風景に惹かれる」と語る村上さん。

各地を旅して、さまざまな風景を写真に撮ってきました。

その風景からは場所を特定できるものや、具体的なモチーフが極力、削ぎ落とされています。

それは、その写真に写っているイメージだけを見て欲しいから。


例えば、霧の写真があります。

ほとんど全体が真っ白で、地面や線路などの風景の断片がうっすら見て取れます。

霧は、普段生活する上では、視界を遮るもので、ものを見えなくするものですよね。

私達はこれらの写真を見るとき、霧の中に何が写っているのか、地面や線路を探してしまいます。

でも、じっと見ていると、そこにはっきりしたものが見えないからと言って、何もないわけではなく、むしろ霧というものでいっぱいに満たされているんだと気づきます。

村上さんは、その霧そのものをじっと見つめています。

 


また、フィルムの写真がどんどん減っていくなかで、素材や表現媒体に拘るつもりはない。

もしかしたら、もっと他に自分に適した媒体があるかもしれない、と村上さんは言います。

 

サイアノタイプ(青写真)の作品は、新しい取り組みのひとつです。


展覧会のはじまりに展示した、青く小さな一枚の写真。

村上さんによる本展のための新作です。

「おのみち/太陽」と、タイトルに地名が入っていて、これまでの場所を特定しない作品とは大きく異なります。


サイアノタイプは、太陽の紫外線を利用する技法です。

その場、その場の光を、直接取り込んでいるので、そのことをタイトルに記録しておきたい、とのことでした。

深いブルーのシンプルな画面に、具体的な地名が付くことで、より思いを巡らせることができます。


 

全体を通して、村上さんは、そこに起こっているある現象、とりわけ光を大切にして制作されていることが分かります。 

フィルムによる写真と、サイアノタイプ。

技法や完成イメージは異なりますが、どちらもイメージが丁寧に抑制されながら、多くを語りすぎず、静かな光をとどめています。

 


(上から2枚目:photo by Motohiro Ozaki)

 

 


 

 

 

 

 

本日より「コレクションにみる“静かなもの” × BOOKS / The Standstill of Painting」

スタートしました。

なかた美術館で初めての、現代美術のグループ展であり、また

当館がこれまでコレクションしてきた近代絵画と、尾道に関わりを

持つ現代美術作家の作品を、一堂に展示するという試みです。

 

今回招いたのは

稲川 豊

村上友重

もうひとり(アーティスト・ユニット)

安田 暁の4組の作家。

それぞれ写真を媒体にした作品や、インスタレーションを通して、

私たちが日頃は見失っているものや、意識からこぼれおちている

ものを表そうとしています。

そんな彼らの作品とともに、当館のコレクションから選んだ風景画や

静物画を組み合わせて展示しました。


会場の様子を少しだけご紹介します。







コレクションを含めて計46点の作品を展示しています。

カミーユ・コローが風景を描いた時に近代絵画が誕生したとして、

これまで次々に新しい表現が生まれ、私たちの絵画を見る眼は

大きく変わってきました。


今一度、現代をともに生きる作家たちの眼を借りることで、近代絵画を

もっと丁寧に、私たちと地続きの表現として見ることができればと思っています。

 

そしてトークイベントも行います。

8月3日(日)14:00〜

「静かなものそして、見えない絵画 アーティスト・ミーティング」

 


参加アーティスト:稲川 豊、村上友重、安田暁、もうひとり(スカイプ中継予定)

聞き手:阿部純 (福山大学メディア情報文化学科講師)
      津口在五 (AIR zine編集室)

定員:40名

対象:高校生以上

参加費:展覧会チケット


「文体練習」などでお招きした、阿部純さんと津口在五さんを聞き手に、

対話を中心にした濃いトークになると思います!

その他にも、ワークショップを多数開催しますので、詳しくは展覧会のページ

ご覧下さい。


ちょっと他では見られないような展示になっているのでは・・!と自負しております。

会期は10月19日(日)まで。ぜひご覧下さい。

 

 



 

 

 

「コレクションにみる“PORTRAIT” × BOOKS」スタートしました。

更新日:2014年4月27日(日) 【展覧会】

いい季節になりました。

庭園の緑がきらきらと輝いています。


 

緑と見事なコントラストを見せてくれるのは、カエデの新芽やシャクナゲ、ツツジの赤です。

 

 

 

さて、美術館では今週末から、企画展「コレクションにみる“PORTRAIT” × BOOKS」がスタートしました。



なかた美術館のコレクションの絵画と、一緒に本を展示しています。

絵画は  “PORTRAIT”= 肖像画や、自画像など人物がモチーフのものを中心に。

そして、出品画家のカタログ・レゾネや、図録、画集、評伝や自伝などの本を集めました。

 

 

 

 

 

私たちは、印刷された図版を通して多くの絵画を目にしています。

美術のこと、画家のことも、その多くは本を通して伝わっています。

そして、歴史を刻んだ本それ自体の佇まいも美しいものです。

 

 

ほとんどの本はお手にとって自由にご覧頂けます。

どうぞ、ゆっくりと時間をお過ごしください。

 

「コレクションにみる“PORTRAIT” × BOOKS」

4月26日(土)〜7月13日(日)

http://nakata-museum.jp/exhibition/

 

 

 

 

 

 
前の記事へ≪  10  11  12  13  14  ≫次の記事へ
広島県尾道市(しまなみ)の美術館 コレクションは、フランス現代具象画家ポール・アイズピリ、ピエール・クリスタン、エコール・ド・パリを中心としたフランス近代絵画、梅原龍三郎、中川一政、林武ら日本近代絵画、尾道を代表する小林和作、絵のまち尾道四季展招待作家作品など、国内外の洋画を中心とした約200点。
音楽鑑賞の場として、所蔵のチェンバロを中心としたバロックコンサートを定期的に開催するほか、ジャズやクラシックなど様々なジャンルの演奏家によるディナー付きコンサートも企画・開催しています。併設するフレンチレストラン「ロセアン」では、ランチ・ティータイムはもちろん、美術館閉館後もゆったりとした空間でライトアップされた庭園を眺めながらの本格的なディナーが楽しめます。

ページ先頭へ戻る

 
サイトマップ  →著作権

〒722-0012 広島県尾道市潮見町6番11号
TEL. 0848-20-1218

「なかた美術館」は、(株)ナカタ・マックコーポレーションにより運営されています
ナカタ・マックコーポレーション
 
copyright
広島県尾道市(しまなみ)の美術館/ポール・アイズピリ、ピエール・クリスタン、ピカソ、ルオー、小林和作、梅原龍三郎、中川一政、林武などを所蔵。チェンバロによるコンサートやフレンチレストランでの食事も出来ます。