秋のガーデントーク
更新日:2012年10月6日(土) 【nakata Labs なかたラボ】
今日は「秋のガーデントーク」を開催しました。
美術館の裏山と庭園を散策しながら、植物の解説を聞こう!という企画です。
講師は、大好評だった前回6月に引き続き、浜田展也さん。
尾道東校等学校の先生で、植物の専門家です。
今日、主に解説していただいた植物は全26種!
ざっと並べてみると、
イロハモミジ
ムラサキシキブ
大板屋名月
トサミズキ
ドウダンツツジ
キキョウ
チリメンモミジ
ヤブラン
タギョウショウ(赤松)
アサザ
ミツバツツジ
ソメイヨシノ
レモングラス
オニマタタビ
ブドウ
アキニレ
モクレン
ハゼラン
ランタナ
センダングサ
ヌスビトハギ
ハイヌスビトハギ
クロガネモチ
グアバ
ホトトギス
シュウメイギク
これでも裏山と庭園にある植物の、ごく一部です。
涼しくなってきて、ツツジや紅葉などは、少しずつ色づいていました。
じっくりと観察しながら、それぞれの特徴、原産、名前の由来、今の時期ならではの見どころや
様々な形をした種や実、「つる」や葉などを観察しながら、その仕組みと機能について教えていただきました。
大きな赤い葉っぱを、月に見立てて「名月」と名付けられたモミジや、
種の形を足跡に見立てて「盗人」と名付けられた草。
昔の人はうまいこと言うもんですね。
これは種の形が足跡のような「ヌスビトハギ」の仲間。
かと思えば、英語の「herb ハーブ:有用な草」も、「grass グラス:イネ科の草」も、
全部『草』のひとことにまとめてしまったり・・・。
こちらは、ロセアンの人気メニュー「フレッシュハーブティー」でも使われるレモングラス。
さわやかで少し甘い香りです。 (ロセアンでは三原の梶谷農園さんから仕入れています。)
また、例えば「外来種」というと害のある植物というイメージがありますが、可愛らしい花ですっかりなじんでいる木や、
日本の葛やスイカズラなど、逆に海外で「外来種」として迷惑になっている植物もあること、
水害などで裸になった土地や、砂漠などの厳しい環境で、いち早く育つ強い植物であることも知りました。
そして、何かの実に見えるこちらは、「ヤママユガ」という蛾の繭。
なんとこの繭から、絹と同じように糸を紡ぎ出し、それを織物にするそうです。
繭そのままの、透き通るような鶯色の絹糸になるのだそうです。
しかも、広島の可部で盛んだったとのこと!
初めて知りました。
もちろん作られたお庭なので、園芸種として改良され、定着した植物もたくさんありました。
環境のこと、そこに棲む虫や菌などの生き物のこと、歴史や文化の話まで、
植物トークはあらゆるスケールで展開していきました。
一人で歩けば15分ほどの裏山と庭園にも、まだまだ未知の発見がありますね!
とっても濃い1時間半で、もっともっと色々なことを知りたくなりました。
ご参加いただいた皆さんと浜田先生に、改めて感謝いたします。
さて、次回は 12月8日(土) 14:00〜15:30
「冬のガーデントーク」を開催します。
冬には冬の姿と魅力があります。
この頃には、「風景画 fukei-ga」展の作品も、後期のラインナップになっています。
ちょっと先ですが、お楽しみに!
ぜひ、あたたかくしてお越し下さいね。
風景画の見方
更新日:2012年10月5日(金) 【nakata Labs なかたラボ】
今週は、尾道市内のふたつの小学校が観賞に来てくれました。
「風景画 fukei-ga」展の観賞です。
私達が毎日、歩きながら、走る車の窓から、目にしている「風景」。それを写真に撮るのとは違って、絵では描く人によって様々に表現することができます。
実際には無いものを描き加えたり、あるはずの物を描かなかったり、大きくしたり、色を変えてみたり・・・。
描かれた風景画は、誰にとっても等しく「風景」ですが、それぞれ描いた作家にしか見えていない世界でもあります。
だからとても面白いのですね。
なので、今回はみなさんと一緒に、その絵を描いた「作家」になったつもりで絵を見ていきました。
どんな場所から、どんな時間に、どんな道具を使って?
そして、どんな気持ちで描いたのか・・・。
大人は、まずキャプションに目がいきがちですが、良いなと思う絵そのものを、
ゆっくりゆっくり観察していると、ちゃんといろんなことが分かってくるものです。
例えば、「いつ描きましたか?」という質問ひとつとっても、
「夏の終わり頃」、「夕方のなりかけ」とか「ちょっと早い朝」などなど。
まとめでは「作家さん」を招いて、どうだったのか詳しく教えてもらいました。
土堂小学校のみなさんは、「尾道を描いた作品」について学ぶ一環として来てくれたので、尾道の風景作品に限定して見ていきました。
皆さんさすが、よく勉強して知っている場所が舞台なのもあり、細部までよく想像を働かせてくれました。
山波小学校のみなさんは、市民が立ち上げた「アート・スクール・バス」を活用しての来館です。
*アート・スクール・バスについては読売新聞産の記事が詳しいです。(http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/hiroshima/feature/hiroshima1197001129611_02/news/20101113-OYT8T00047.htm)
歩いてくるにはちょっと遠すぎますが、このバスのおかげで、ここまで来てくれました。
道中にも、車窓からたくさんの「風景」(家、川、犬、彼岸花など)を見れますしね。
こうして一緒に絵を見ることを楽しんでくれるのは、とても嬉しいですね。
美術館では、いつでも大歓迎です!これからもよろしくお願いします。
「OPEN STUDIO/ON AIR」 「絵画の水と地図」
更新日:2012年9月5日(水) 【nakata Labs なかたラボ】
「OPEN STUDIO/ON AIR」が終了しました。
複雑に入り組んだ、尾道の斜面地や路地に点在するアトリエ・スタジオを、
期間限定でオープンしてもらい、参加者が自由に巡るというこの企画。
本当にあっという間の、濃厚な二週間でした。
暑さと、複雑さが心配でしたが、思った以上に多くの反響をいただきました。
ものが生まれる現場を見ながら、新しい視点で尾道を歩くことで、
ひとつでもふたつでも、何か発見をしていただけたのではないでしょうか。
さて、なかた美術館では、関連企画として
先週末にレクチャーツアー「絵画の水と地図」を開催しました。
画家・批評家の古谷利裕さんをお招きして、
講義、まちあるき、ディスカッションという三部仕立ての長丁場。
第1部では、館内に椅子とホワイトボードを並べての「講義」です。
創作における「表現」という言葉について、「変換」という概念について。
マティスの《赤い部屋》を例にして、色や形の機能や、その構造について学びました。
大学の授業を懐かしく思い出します。
第2部のツアーでは、参加者とともに「OPEN STUDIO/ON AIR」のスタジオを巡ります。
奇跡的に涼しく、尾道の風景を横目に路地を進み、
大学生達のシェアハウス兼アトリエや、クリエイティビティ溢れる酒屋さん、
廃屋を利用した作品などを見てまわりました。
第3部では、古谷さんの作品を、スライドで紹介していただきながらのディスカッション。
構築的な色や線が印象的です。
尾道に住む若いアーティストたちに、それぞれポートフォリオも紹介してもらいながら、
質疑応答を交えて話しました。
はじめに置く“一筆目”のこと。
それぞれの線の機能と響き合い。
文章を書くときと、絵を描くときの方向について。
分析する「フレーム」のこと。
「絵画」と「行為」の違い・・・等々
絵画と言葉という、相容れないものに同時に思いを馳せながら、
様々な思考を、スープのように煮込んだ夜でした。
終わってみると、21時近くになっていました。
翌「OPEN STUDIO / ON AIR」最後の夜にも、
古谷さんを含めて色々な方に集まっていただき、
丁寧な言葉で、多くの気づきや、刺激をやりとりしてくださったようです。
古谷さんのブログ「偽日記」はこちら→ http://d.hatena.ne.jp/furuyatoshihiro/
このたび、ご参加・ご協力をいただいた皆様、本当にどうもありがとうございました!
古谷さんの尾道での体験と、古谷さんが私達に残した示唆が、
これから新たな展開を見せてくれることを願っています。
音楽鑑賞の場として、所蔵のチェンバロを中心としたバロックコンサートを定期的に開催するほか、ジャズやクラシックなど様々なジャンルの演奏家によるディナー付きコンサートも企画・開催しています。併設するフレンチレストラン「ロセアン」では、ランチ・ティータイムはもちろん、美術館閉館後もゆったりとした空間でライトアップされた庭園を眺めながらの本格的なディナーが楽しめます。