Museum books ミュージアムブックス
更新日:2013年6月9日(日) 【nakata Labs なかたラボ】
本日、nakata Labs のワークショップ「Museum books ミュージアムブックス」を開催しました。
美術館の中で、美術にまつわる言葉について、一緒に考えてみましょう、ということで、
ルオーの作品について書かれた文章を題材に、その書き直し!にチャレンジしました。
講師は、尾道の光明寺會舘を拠点に、zine(小冊子)を発行する「AIR zine 編集室」から。
福山大学の助教で、メディア論がご専門の阿部純さん。
そして、福祉施設職員で美学がご専門の津口在五さん。
ちなみに、お二人とも、そして参加者の方も、「ルオーのことは全然詳しくない」という状態でスタートです!
まずは展示中の、年代の違う4つの展示中のルオー作品を見て、
「作品だけ」を見て読み取れることを、カードに書き出していきます。
解説パネルは外してますが、キャプションだけは残してあります。
「何が描かれていると思いますか?」
「描き方の特徴は?」
「全体の印象は?」
という3つの質問を用意しました。
例えば「ソランジュ」という作品では、
色の鮮やかさから“南国”
笑顔なので“うきうきした若い女性”
とても執着して描いているいるように見えるので“恋人や愛人?”
といった言葉が出て、見る人によって色んな物語が想像されていること、
そして、私だけは「答え」的なものを知っていて、みなさんのような発想ができなくなってしまっていることもよく分かりました。
続いて、いよいよ文章の書き換えです。
批評家の小林秀雄氏や、哲学者の谷川徹三氏がルオーについて書いた文章を、
阿部さんと津口さんの、分かりやすく、かつ鋭いリードのもと、
みなで読みながら、ふせんを貼って書き込みをしていきます。
これってカタカナ語じゃなくてもいいのでは?とか、
難しい抽象的な言葉を解体してみたり、
日本語から日本語へ、わかりやすく「翻訳」してみよう!という感じです。
それぞれの書き込みを共有してみると、
「ここは分かりづらい!」とか「この言い方はもっと説明してほしい!」と感じる部分は、けっこう共通していること、
「絵」の説明にどれほど言葉を費やしても、(逆に言葉が多いほど?)わかりにくいこと、
“〜のような”といった比喩や暗喩を使わざるを得ないということが浮かび上がってきました。
最後は全員の書き込みがされた文章を、本としてつづりました。
お高くとまりがちな美術批評に対して、難しい!よく分からない!って言い合えて盛り上がったり、
何だかんだと言いながらも、ルオーに対する、それぞれの著者の熱い思いもよく伝わってきましたし、
ワークショップを終えてから作品を見ると、改めて発見できることがあったり、さっきは首をひねったことに納得できる部分があったり・・・。
そして私も、「学芸員」としての普段の解説や、展示パネルの文章が、いかに見る人の作品への理解を左右しているのかを実感して、その責任を感じました。
たいへん実りの多い時間でした!
参加してくださった方、阿部さん、津口さん、どうもありがとうございました。
今後も、このワークショップには色んな展開ができる可能性があるなあと思っています。
どうぞお楽しみに!
ミュージアムブックス (Museum books) のお知らせ
更新日:2013年5月29日(水) 【nakata Labs なかたラボ】
nakata Labs のワークショップ Museum books(ミュージアムブックス)の開催をお知らせします。
美術館や画集などの本には、作品とともに必ず、解説文や文章のパネルがありますね。
あの文章は、私のような学芸員や、作品を研究する人たちが書いています。
こう書いたら面白いかな、読む人に伝わるかな、誤りはないかな、とあれこれ考えながら、
ときにその文章は、作品の見え方を大きく左右してしまうので、注意しながら書いています。
読む立場として、なるほどー、そうか、そういう作品なんだ!と感動が深まるときも多々あります。
かと思えば、読みづらいな〜とか、果たして本当にそうなのか・・・?と思う時もあったりします。
みなさんも、そんな経験ありませんか?
もちろん、作品だけを楽しみたい場合は読まなくたってOKですが、
展覧会場にも、画集にも、まったく解説や批評文がなかったら、作品はどんな風に見えるでしょう・・・?
今回の「Museum books」では、ジョルジュ・ルオーの作品についての文章を「書き直して」みます!
事前の知識や経験は問いません。
講師は、阿部 純さんと、津口在五さん。
お二人は、尾道の光明寺會舘を拠点に、ZINE (ジン=小冊子)を発行する「AIR zine編集室」の中心メンバーです。
ルオーのことをもっと知りたい!という方はもちろん、
卒論などに思い悩んでいる方、
美術館の仕事や、本作り、編集に興味のある方など。
文章や美術批評に対する考え方を深めるような、楽しい実験の場になると思いますので、ぜひご参加ください!
6月9日[日] 13:30〜16:00
定員:10名
参加費:1,000円
持ち物など: 筆記用具、はさみ、色ペンなど
対象:中学生以上
ご予約:0848-20-1218
「見せるだけのプレート」開催しました。
更新日:2013年5月19日(日) 【nakata Labs なかたラボ】
今日は、nakata Labsのワークショップ「見せるだけのプレート」を開催しました。
講師は、作家の白水麻耶子さん。
普段は絵を描いたり、ブローチなどをつくっておられます。
物語を感じさせる、深い色彩とゆらめく形が特徴の作品と、
同様に、お人柄も優しくてあたたかです。
今日はまず、イメージをふくらませるためのスケッチから。
お皿の大きさを紙にうつしとってから、展示室の中で見つかる形を描き留めていきました。
描かれた花や器、船や人、その背景や、何かの影。
画家たちが使ったさまざまな色や線。
額縁の装飾や、窓から見える木々などなど・・・。
心にとまったものをスケッチすることで、手をやわらかく動かして、体をあたためます。
ウォームアップが終わったら、お皿に絵の具で描いていきます。
みなさん、意外なほどに、ぐいぐいと筆が進みます。
紙と違って、硬くてしっかり頼りになる立体物ですし、
上下やすみっこのない、丸いかたちなのが良いのでしょうか。
こうしたワークショップでは毎回そうなのですが、
大人のみなさんの集中力は、ほんとうにすごい!
黙々と・・・
ただ黙々と・・・とぎれることなく、集中して手を動かしていらっしゃいます。
ごらんください、この密度の高さ!
絵の具を重ねたり、削ったり。
表ができたら、ひっくり返して裏側にも描いていきます。
こちらは何故か、チーズケーキとドーナツと時計。
仕上げにコーティングして完成!
思い思いに彩られた鮮やかなお皿たちを、本当に食卓に飾ってみました。
みなさん集中しすぎていたので、このとき初めて、お互いの作品を見せ合いっこ。
どれも、それぞれ違った魅力があって、いいなあ!すごーい!と声があがります。
本当にすばらしい力作揃い!
お皿も、みなさんの表情も、とっても輝いて見えました。
素晴らしい時間となりました。
お越し下さったみなさま、白水さん、どうもありがとうございました!
白水さんは来月、東京で個展をひらかれます。
「白水麻耶子 個展 大きな湖への扉と 小さな湖への扉」
6月18日(火)〜6月29日(土)
お近くの方は、ぜひ足を運んでみてくださいね!
音楽鑑賞の場として、所蔵のチェンバロを中心としたバロックコンサートを定期的に開催するほか、ジャズやクラシックなど様々なジャンルの演奏家によるディナー付きコンサートも企画・開催しています。併設するフレンチレストラン「ロセアン」では、ランチ・ティータイムはもちろん、美術館閉館後もゆったりとした空間でライトアップされた庭園を眺めながらの本格的なディナーが楽しめます。